ねりまの文化財を訪ねて=9=
ねりまの文化財を訪ねて
やせていく地蔵
関のかんかん地蔵(区指定有形民俗文化財 昭和63年度登録・平成12年度指定)と呼ばれている一風変わった名前の石造物が、青梅街道沿いの関町東1-18付近に建っています。
『新編武蔵風土記稿』という江戸時代の地誌に「青梅道の北側に立り、関の地蔵と云(いう)、祈願をなすもの石にて打ばかねの音あるをもて、かんかん地蔵とも云」と記されています。かんかん地蔵という呼び方は、信仰する人が祈願の際、地蔵を石でたたくとカンカンという音がすることに由来しています。
台石まで含めた高さは2mにもなり、台石に刻まれている文字により正徳元年(1711)に建てられたものと推定されます。もとは、現在地より少し離れたところに東を向いて建てられていたということですが、青梅街道拡幅の際、現在地に移されました。
この地蔵は江戸時代から民衆の信仰を集めました。村人や青梅街道をゆく旅人などが、願いごとがかなうようにひっきりなしにお参りしたため、一日中カンカンと石でたたく音が絶えなかったといわれています。
長年にわたり石でたたかれ続けたため、地蔵の足元は摩滅しすっかりやせ細り、衣のすそには穴があいて気の毒な姿になってしまいました。このため、現在では補修され、ほかの二体の石造物とともに祠(ほこら)に納められています。今では自動車の通行が激しく周辺も往時の面影はありませんが、皆さんも地蔵を前にして当時の人々の願いの姿を思い浮かべてみてください。
▽所在地 関町東1-18地先(青梅街道沿い)
▽問合せ 区役所内伝統文化係
平成11年1月21日号区報
写真:関のかんかん地蔵(平成29年)