ねりまの文化財を訪ねて=8=

ねりまの文化財を訪ねて

若者の力自慢

 豊玉南二丁目にある氷川神社の境内参道わきには、だ円形の河原石が八つ置かれています。この石は力石といって、江戸時代から明治期まで行われていた若者の力くらべに使用されたものです。

ねりまの文化財を訪ねて=8=

 娯楽の少なかった農村では、神社の祭礼は、村人たちの貴重な娯楽の機会でした。この日は、神社の境内に大勢の人が集まって、踊りや芝居、相撲などさまざまな催しが行われました。
 若者の力くらべもその一つで、祭りの日に若者たちが大きな石を持ち上げて、力自慢を競いました。持ち上げ方は、石の重さによりさまざまで、肩に担いだり、頭上まで上げたり、ひざまで上げたり、地面から離したりして、自慢の力を披露し合いました。この力くらべに使われ、持ち上げられた中で最も重い石を神社に奉納したのが力石です。
 氷川神社の力石(区登録有形民俗文化財 平成4年度登録)には、「奉納」という文字とともに、「三十五〆(貫)」(約131㎏)、「五十五〆(貫)」(約206kg)など石の重さが刻まれています。中には、持ち上げた人の名前が誇らしげに刻まれているものもあります。力石の重さは米俵の二~三つ分に当たり、若者の力試しとしては適当な重さでした。「五十五〆(貫)」と刻まれた力石は、区内では最も重い部類のものです。

ねりまの文化財を訪ねて=8=

ねりまの文化財を訪ねて=8=

 若者たちが勇壮に力を競い合った姿を思い浮かべながら、皆さんも力石を見学してみてはいかがでしょうか。

▽所在地 豊玉南2-15-5 氷川神社境内
▽問合せ 区役所内伝統文化係

平成10年12月11日号区報

写真上:氷川神社の力石(令和4年)
写真中:三十五〆(貫)と刻まれている力石(令和4年)
写真下:五十五〆(貫)と刻まれている力石(令和4年)